【ロンドン観光】科学博物館(Science Museum)~蒸気機関編②~

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蒸気機関展示エリア「ENERGY HALL」

博物館に入り、1階(イギリスでは0階)でまず目にするのは「ENERGY HALL」。

最初の展示に「蒸気機関」を置いているあたり、さすが産業革命の発祥の地イギリスですね!

 

 

高圧エンジン、回転式エンジンなど様々な実物大のエンジン・模型が並んでいます。ガイドにある順番通りに見て回ると、時系列に沿って学べるようになっているようです。

 

 

蒸気機関の設計が順調に進むにつれ、より高いクオリティが要求されるようになっていきます。

しかし、熟練した技術者は不足し、エンジンを購入する工場主も蒸気動力についてほとんど経験がないという状態でした。

 

ジェームズ・ワットは、生産方法を改善する必要があると考え、1796年にワットはバーミンガムにソーホー鋳造所を開設。

あらゆる種類の機械を製造するために特別に設計された世界初の工場でした。 エンジン製造の仕事から引退したワットは、以前の肖像画よりも健康そうな顔をしています(*’▽’)

 

  エンジン事業のビジネスが忙しかった頃の、9年前のワットの肖像画はこちら。

     

 

1800年代初頭、大規模な工場や製造所は珍しいものでした。

生産の多くは、まだ何百もの小さな工房で行われていたからです。

そのため、小規模な工場で使用できる小型で、かつ安価な蒸気機関への需要が高まっていました。これは、蒸気の利用が拡大していることの証です。  

 

ワットの初期のエンジンはかなり大きなものでしたが、1799年にワットの優秀な従業員の一人、ウィリアム・マードック(William Murdoch)がベルクランク・エンジンを開発します。

コンパクトで自己完結型のエンジンとして、初めて実用化されたものです。

 

その後、小型エンジンは広く取引されるようになっていきます。    

 

ベルクランク・エンジン

1799年にウィリアム・マードックが特許を取得し、1799年から1813年にかけて約75台のベルクランク・エンジンが製造されました。

1810年に作られたこちらのエンジンは、1930年頃まで、蒸留所の機械や発電機を動かし続けたそうです。

 

 このエンジンは複動式で、蒸気はエンジンの弁箱に入り、スライドバルブによってピストンの上下に交互に分配されます。

片側から蒸気が入ると、弁は反対側の蒸気を復水器へ導きます。

シリンダーで使用された蒸気は、冷水の貯水槽に設置されたコンデンサーに入ります。コンデンサーの中では、貯水槽から噴射される冷水によって蒸気が凝縮され、水になります。

この凝縮水は、エンジンのエアポンプによって取り除かれる仕組みになっています。

 

ピストンの上下運動は、長いサイドロッドとベルクランクに伝えられ、このベルクランクはクランクに接続しており、往復運動を回転運動に変換します。

 

 

 ベルクランク・エンジンの模型

1799年ごろの模型。細部がウィリアム・マードックの他の模型と似ていることから、上記の大きなエンジンの実験モデルだったのかもしれないとのこと。

 

 

オシレーチングエンジン(首振り式エンジン)

1785年のウィリアム・マードックの実験モデルとされています。

首振りエンジンは弁装置を必要とせず、圧縮空気だけで動かす単純構造のエンジンです。

シリンダーが左右に揺れることから「振動機関」と呼ばれ、船の駆動に広く使われていました。    

 

 

ワゴンボイラー

1800年にワットのエンジンで使用されたワゴンボイラーの模型です。

ワゴンボイラーは、従来のボイラーよりも大きく、簡単に作ることができました。

しかし、高い蒸気圧には耐えられず、より新しい次世代のボイラーに取って代わられたそうです。

   

 

 

マシュー・マレーが開発したビームエンジン

ワットのライバルであるマシュー・マレー(Matthew Murray)が開発したビームエンジンです。

似た設計のサイドレバー式エンジンはより軽量でコンパクトであり、船舶に適していました。

 

 

ボールトンとワットが開発したビームエンジン

1813年頃、ボールトン、ワット社が開発したビームエンジンの模型です。

 

競争が激しかった産業革命期、ライバル会社の間で産業スパイが行われることも珍しくありませんでした。

このエンジンのアイデアは、ワットのライバルであるマシュー・マレーが1800年頃に発表した設計に似ているそうです…(;’∀’)    

 

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