古代アッシリア(現在のイラク北部)の宮殿や神殿に関する展示エリアには、大きな石の彫刻やレリーフがずらりと並びます。
オーステン・ヘンリー・レイヤードとニムルド発掘調査(Austen Henry Layard and the excavation of Numrud)
ニムルドに関連する資料を含む大英博物館のメソポタミア・コレクションの多くは、オースティン・ヘンリー・レイヤードによってイギリスに持ち込まれたものです。
レイヤードは、セイロン(現スリランカ)に赴任した際、これらのアッシリアの遺跡に魅了されました。
彼は1845年から1851年までニムルドでの発掘調査を監督し、「有用と思われる石材を英国に持ち帰る」ことを許可されていました。
彼による数々の発見は人々の大きな関心を集め、1851年にロンドンで開催された万国博覧会では、多くのアッシリアの発掘品が展示されました。
アッシュル・ナツィルパル2世(Ashurnasirpal Ⅱ)の石碑
アッシュル・ナツィルパル2世が右手を上げて神々のシンボルを拝んでいる姿が描かれています。
この石碑は、アッシリアの支配下にあった町の一つに掲げられていたとのこと。
人頭獅子像
アッシュル・ナツィルパル2世(Ashurnasirpal Ⅱ)の王座の出入り口を挟んでいた一対の獅子のうちの1つ。
悪魔から、建物を魔術で守る役割を担っていたそうです。5本の脚は、斜めからではなく、正面や横から見ることを想定しているのだとか。
ニムルドのニヌルタ神殿(Ninurta)
ニヌルタ神殿は、アシュルナシルパル2世がカルフ(現在のニムルド、現在のイラク北部ニーナワー県にある)を新首都とした際に建設されたもの。
アッシリアの戦争と農耕の神であるニヌルタは、カルフの都市神とされていました。
ニヌルタ神殿遺跡の入口からは、翼を持つ人頭獅子と、翼を持つ人物のレリーフが発掘されました。その像やレリーフが、大英博物館に展示されています。
魚のマントを着た守護神(865-860BC)
この石板は、ニヌルタ神殿の入り口の一つを守っていた一対のうちの一つです。
この石板に描かれているのは守護神。チュニックと羊皮のマントを身につけ、頭には魚、背中にはその皮が垂れ下がっています。
ニヌルタ神殿のレリーフ(865-860BC)
紀元前860年のもの。ニヌルタ神殿の入り口に並ぶ一対の壁面パネル。ニムルドの街の主神であるニヌルタが描かれています。
翼があり、両手に雷を持ち、背中に鎌の剣を下げ、腰にはもう一本の剣を差しているニヌルタの姿。半分ライオン、半分ワシの姿の混沌の怪物アンズを追いかけている様子も描かれています。
クルクの石碑(883-859BC)
1861年にJ.E.Taylorがクルクで発見した、シャルマネセル3世の石灰岩のモニュメント。
シャルマネセル3世は、アッシュル・ナツィルパル2世の息子で後継者、古代メソポタミア地方の新アッシリア帝国の王でした。
前面には王の像と神のシンボルが彫られ、前面と背面には楔形文字の碑文が刻まれています。本文は、王の作戦を年代順に述べられています。