「ヌン活(ぬんかつ)」という言葉が日本で使われているように、英国の喫茶習慣である「アフタヌーンティー」は日本でもおなじみです。
せっかくの英国暮らし、本場英国のアフタヌーンを経験してみることにしました。
今回は、庶民派アフタヌーンティー「パティスリーヴァレリー(patisserie valerie)」に行ってきました。
アフタヌーンティーって?
英国の喫茶習慣・貴族文化から生まれた、紅茶と共に軽食やお菓子を食べる習慣のことです。
インスタグラムでは「#ヌン活」というハッシュタグで、全国各地のアフタヌーンティーの写真をインスタグラマーが投稿しています。
第7代ベッドフォード公夫人アナ・マリアが発明したと言われています。
英国でこのような喫茶習慣が流行った理由は
1つめは女性向けの社交の場として。
2つめは当時の英国貴族は夜の21時くらいまで劇・オペラ鑑賞するために夕食時間が遅くなることが多く、夕食までの腹ごしらえとして。
だと言われています。
伝統的な英国のアフタヌーンティーでは、紅茶とミルクが主役。3段重ねのトレイに盛られているものをよく目にします。
内容は、ケーキ、ビスケット、クッキー、スコーン、マフィンなどの甘いもの。さらに、キュウリやチーズなどのサンドイッチといった軽食です。
3段重ねのトレイは、狭いテーブル上でもたくさんのものを乗せられるように、狭いテーブルを有効活用するためのものです。
そのため、広いテーブルでのアフタヌーンティーでは相応しくない、と使用を避けられることもあるそうです。
紅茶とミルクが主役のアフタヌーンティーよりも、さらに食べることをメインにしたものはハイティー(high tea)と呼ばれます。
アフタヌーンティーの時間帯よりも遅めの、17~18時の時間帯で楽しむもので、軽めの夕食に近いです。
軽食もサンドイッチだけでなく、加熱して調理した料理も出てきます。ハイティーは、労働者階級の人がより実用的な目的で食べ始めたのだそうです。
日本では高級ホテルのラウンジなどで食べられることが多いアフタヌーンティー。価格帯はお一人4,500~7,000円くらいでしょうか。
英国では様々なタイプがあり価格帯も幅広いです。(さすが階級社会…)
ドレスコードがあるような高級ホテルなどの優雅なティールームのアフタヌーンティーは50~75£(7,500~11,000円くらい)ほど。
さらにシャンパンなどのオプションを付けると、さらに料金は高くなります。
気軽なカフェ・ティールームでは、13~25£(2,000~4,000円くらい)と、お値打ちで楽しむことができます。
パティスリーヴァレリー patisserie valerie
まずはお手頃価格のものから経験してみようと、今回は「パティスリーヴァレリー」のアフタヌーンティーに行ってきました。
こちらは、英国各地に店舗があるカフェチェーン店。
フルーツタルトやケーキが種類豊富でテイクアウトも人気です。店内で食べるよりテイクアウトの方が0.5~1£くらい安いため、時間帯によってはテイクアウトのお客さんの列ができていることもあります。
一日中注文することができる朝食メニュー、サンドイッチ、サラダもあり、しっかりランチとしても利用できます。
店内の様子
メニュー表
パン、ケーキの種類が豊富ですね。
アフタヌーンティー2人分のお値段は29.95£(4,500円くらい)です。
日本と比べて外食費が高いロンドンで、一人2,000円ちょいで席に座って飲食できるというのは安いほうです。
アフタヌーンティーを注文すると、すぐにジャムスタンドとお皿類を準備してくださいました。
ジャムはマーマレードとストロベリーです。鉄板。
赤と白のチェック模様のふたがもう可愛い…!カワ(・∀・)イイ!!
お茶はポットを1人1人ずつ、それぞれ違うフレーバーにしてもOKでした。
ダージリンとアールグレイを注文しました。
おかわりには2種類あり、①お湯を継ぎ足すだけならば無料(refillableとメニューに記載あり)、②茶葉を新しいものに変えるならば別途料金がかかります。
真ん中のポットはミルクです。たっぷりのミルクは嬉しいですね!
10分後にはこんな豪華な3段トレイが到着。
早い!ファストフード店ばりの提供の早さです。
一番下の段
たまごサラダがたっぷり塗られたパンがとっても美味しそうです!
覗くとびっくり。奥にはサンドイッチが4種類×2の8切れもあります…!思わず二度見してしまいました。
下の段だけでもそこそこお腹が膨れそうです(;・∀・)
中の段
スコーンが2種類×2つ。プレーンのスコーンと、サルタナ(ぶどう)スコーンです。
中央にあるたっぷりのクロテッドクリームの存在感!
1番上の段
ケーキが3種類×2。チョコでコーティングされたようなシューが真ん中にひとつ。
「乗せられるだけ乗せた」ような一皿になっています(;・∀・)
最後に真ん中のシューをどちらが食べるのか…
紅茶も準備しました。
食べていきましょう!
とっても美味しそうなたまごサラダのパン。誇張抜きで輝いています…
マヨネーズと卵の甘味が絶妙です!これは日本人も大好きな味です!
1つめのサンドイッチ
具材は2枚重ねのハム。とチーズ…ではなく、こちら厚手のバター(;・∀・)
英国のサンドイッチは、バターを塗りたくったものが多いです。バターをかき分けて、控えめな他の具の味を探すような感じです。
脂質たっぷり、もちろん美味しいのですが、何枚も食べていると胃もたれしてきます…(*_*;
ハムに(パンにも)負けないバターのぶ厚さ
2つめのサンドイッチ
こちらも同様、バターの存在感が大きい!
他の具は、ニンニクと塩コショウで炒めたような味付けのパプリカでした。
美味しいです!スパークリングワインを飲みたくなってしまいます。
3枚目のサンドイッチ
スモークされたチキン、とやっぱりバター。シンプルだからこその美味しさがあります。
4つめのサンドイッチ
キュウリとマヨネーズのサンドイッチです。バターは薄っすら。
伝統的な英国アフタヌーンティーには欠かせないキュウリのサンドイッチ。
このシンプルなサンドイッチこそ、かつての英国上流階級の人々の間で大人気のメニューだったそうです。
労働者階級の人は、肉やじゃがいもなどの高カロリーなものを中心に食べていました。
体力を必要とする仕事ならば、タンパク質・糖質を摂取するのは納得です。(フライドポテトをパンで挟んだChip buttyも、労働者階級の食べ物として有名です。)
では、なぜ上流階級の人はキュウリのサンドイッチを好んで食べるのか?
「95%以上が水分、さらに栄養価が低いキュウリを食べるのは裕福な証」と考えていたからだそうです!笑
また、キュウリは当時はまだ輸入品で高価だったという説もあります。
え、英国貴族~(笑)となるエピソードですね…
以上のような話があり、伝統的な英国アフタヌーンティーでは必ずといっていいほどキュウリのサンドイッチがあります。
次は中の段のスコーン
下の段のサンドイッチを食べた時点で、もうそこそこお腹いっぱいです…が頑張って食べていきます!
「おいしいスコーンには“オオカミの口”がある」と言われます。
スコーンを横から見たときに見える、割れ目。童話『赤ずきん』に登場する口の大きな狼のようだ、ということで“オオカミの口”と呼ばれています。
スコーンにこんな可愛いエピソードがあったとは…カワ(・∀・)イイ
スコーンの割り方は、縦ではなく横に半分に割るのが正しいらしいですよ。
本場英国のクロテッドクリームをたっぷりぬって
マーマレードジャムから食べてみます
んんん、美味しいっ!( ;∀;)
マーマレードの甘酸っぱさと、クロテッドクリームのもったりとしたまろやかなコクが絶妙です!
スコーンもバターの香りと味がしっかり感じられ、ジャムなどを付けなくても十分に美味しいです。
ストロベリージャムも
やっと上の段です
チョコレートケーキ、ふわふわしっとりのスポンジケーキ。どっしりと甘いチョコクリーム。
大きさとしては2口分くらいしかありませんが、これだけで紅茶一杯飲めそうです。それくらい甘い!
ホワイトチョコとラズベリーのケーキ
甘酸っぱさが加わり、さきほどのチョコケーキとは全然違う美味しさです。
チーズケーキ
軽いけどチーズの存在感をしっかりと感じられるケーキでした!
テイクアウトで買って帰りたいほど、美味しくて気に入ってしまいました(*_*;
最後のシュー
じゃんけんして私(妻)が勝ちましたので、戦利品としていただきました。
中にクリームは入っていませんでしたが、見た目も味もgoodな一品でした。
ロンドンの物価を考えると、お値打ちな庶民派アフタヌーンティーです!
そして満足度はお値段以上でした♪
高級ホテルのアフタヌーンティーもいいですが、ちょっとお高くて見た目が綺麗なアフタヌーンティーは日本のホテルでも食べられます。
チェーン店で食べられるアフタヌーンティーは日本では珍しいですし(^^♪
本場英国でしか食べられない!ということで、あえて庶民派アフタヌーンティーにトライするのはいかがでしょうか?
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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