展示エリア
前回記事その④の続きからです。
アンダーグラウンドはオーバーグラウンドへ
1870年代、ロンドンからメトロポリタン鉄道が地上路線へと延伸されました。
この写真は1890年頃のもので、ニースデン駅を発車するハロー行きの列車が写っています。この田園地帯は、やがてロンドン郊外の一部となり、これらの緑地は新しい住宅街へと姿を変えました。
1860年代から、ロンドン郊外にも鉄道ができはじめました。
郊外の開発が進み、かつては農地だった場所は新たに住宅街へと姿を変えます。ハマースミス、ブロムリー、クロイドンなどは、鉄道のおかげでヴィクトリア朝後期に発展しました。
1800年当時、ロンドン市民のほぼ全員が職場に徒歩で通える距離に住んでいましたが、
幹線鉄道、郊外鉄道、モーターバスなど交通網が発展した1900年にはほとんどの人がそうではなくなり、通勤に公共交通機関を利用するようになります。
ハムステッド鉄道が開通してから1年後、それまで田舎だった終着駅周辺に、ゴルダーズ・グリーンという新しい郊外住宅地が誕生しました。
地下鉄で最初に廃駅となったのは、メトロポリタン鉄道の初代ファリングドン・ストリート駅。
1863年に開業したこの駅は、1865年に新しい路線延長に伴い、建て替えられました。
地下鉄ハムステッド駅から行ける住宅地を紹介した図鑑の表紙, 1910年
1900年代初頭には、何千人ものロンドン市民が郊外から中心部へ通勤するようになりました。
通勤者のほとんどは中流階級のオフィスワークでしたが、1912年にはロンドン郊外の鉄道利用者の約4分の1が早朝に運行される安価な労働者列車の利用者だったそうです。
風刺画, 1907年
電気式トラムは郊外では賛否両論でした。富裕層の住民は、路面電車が近隣の景観を損ねると感じ、電気式トラムに反対していたそうです。
この漫画は、路面電車の運行を望む一般のモルデン住民のフラストレーションを反映しているのだそう。
風刺画, 1922年
通勤の様子。風刺画集『Suburbia』から。