アフリカの大地が舞台の壮大なミュージカル『ライオンキング』。
ニューヨーク・ブロードウェイから始まり、日本では劇団四季で公演されています。
今回は、ロンドンのライセウム劇場(Lyceum Theatre)で公演されているライオンキングを観に行ってきました。
おおまかなあらすじ、見どころ、料金と座席などを紹介します。
子どもの頃にディズニーのアニメ・映画では何度か見たことがあり、子供向けの内容なのかな?と思っていましたが
観覧前
ライオンキングってディズニーのあの?子供向けなんじゃないの?(;・∀・)
観覧後
め、めちゃくちゃ良かったっ…!!なめてすみませんでした!( ;∀;)
となるくらい素晴らしかったです。
あらすじ
物語の舞台は、広大なアフリカ台地のサバンナ。
光に満ちた王国「プライドランド」を治める王様ムファサ、そのムファサに息子シンバが誕生します。
王国中の動物たちがシンバの誕生を祝う中、1人だけの誕生を快く思わない者がいました。ムファサの弟のスカーです。
好奇心旺盛なシンバに「父さんからプレゼントがある」と言って、スカーは峡谷へとシンバを誘い出します。
そこに現れたのは、ハイエナに追われてきたヌーの大群。駆け付けたムファサはシンバを救出しますが、ヌーの大群に飲み込まれ息子の前で命を落とすことになります。
スカーと同様に、現在の王国「プライドランド」を快く思わないハイエナたちが、スカーと協力して企てた計画でした。
「お前さえいなければ父は死なずにすんだのに」とシンバに告げるスカー。
深く悲しみ、責任を感じたシンバはプライドランドを去ることとなります。
そして、流れ着いた先でシンバは、ミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァに出会います。
「ハクナ・マタタ(気にするな)」という言葉でシンバを励まし、強く明るく成長するシンバ。
スカーの悪政下にある王国から、かつての光に満ちた王国を取り戻すため、シンバはプライドランドへと戻ります。
見どころ
太陽が輝くアフリカの大地を舞台に、「サークル・オブ・ライフ(生命の連環)」をテーマとして繰り広げられる壮大なミュージカル『ライオンキング』。
1997年、ニューヨーク・ブロードウェイで始まり、1998年には演劇界最高の栄誉とうたわれる世界最大の演劇賞・トニー賞の中でも最も優秀な作品に贈られる最優秀ミュージカル賞を受賞しました。
その他、最優秀演出賞、振付賞、装置デザイン賞、照明デザイン賞、衣裳デザイン賞の計6部門を受賞。さらにグラミー賞やドラマ・デスク賞など数々の賞を受賞しました。
天才舞台芸術家 ジュリー・テイモアによって、ライオンキングは一大ブームとなりました。
伝統芸能を融合した演出
アフリカの大自然に生きる動物たちを人間がどのように演じるか?という難題を、ここまでの独創性たっぷりな出来栄えまでにしたのが天才舞台芸術家ジュリー・テイモア。
アフリカンアートだけでなく、日本の文楽や歌舞伎、インドネシアの影絵といった伝統芸能を融合した、マスク(仮面)や・パペット(人形)を使用しています。
独創性たっぷりの動物の衣装やパペット、子供向けのアニメ・映画を見ていた人が初めてミュージカル「ライオンキング」を見ると驚くかと思います。
登場する動物たちの衣装や頭につけているマスクは、アフリカの民族衣装がモチーフに仕上げられています。セリフや歌の一部に、アフリカ現地で使われている「ズールー語 」をはじめとした、複数のアフリカの言葉が使用されており、アフリカの情熱がヒシヒシと伝わってきます。
演者の顔に施された迫力あるペイントは歌舞伎の『隈取り』から、動物たちの動きは歌舞伎の『見得』からインスピレーションを得たのだとか。
いろんなシーンでスクリーンに影が映し出されるという演出などで、インドネシアの影絵が使用されています。
動物のパペット(人形)やその動きは、日本の伝統芸能である人形浄瑠璃からインスピレーションを得て作られたそうです。
動きや顔の表情まで細かく表現されており、ミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァの明るく楽しいキャラクターがしっかり伝わってきます。
ド迫力のハイエナダンス。ポップなナンバーやライトの演出で、他の曲とはまた違った盛り上がり方をする演目です。
昔のめちゃイケの「劇団四季のライオンキングに潜入する」企画で、ナイティナインの岡村さんが最難関ダンスとして、特訓を重ね見事踊り切ったあのダンスです。
テーマである「サークル・オブ・ライフ(生命の連環)」には、(各国文化の)サークル(循環)という意味も含まれているのかもしれません。
壮大な舞台装置
ライオンキングは大掛かりな舞台装置を使うことでも有名です。
王国の象徴であり、王位や王の権力を示す巨大な岩「プライドロック」は、奈落からせり出す高さ4メートルもの舞台装置。
当然、舞台下にはその大きな舞台装置を収納するためのスペースが必要で、『ライオンキング』を公演する際には劇場の舞台の床の構造や骨組みを一度取り払う必要があります。
このような贅沢な工事ができる劇場が限られているため、ツアー公演時には小さいプライドロックを使用するなどの工夫がなされているようです。
迫力あるアフリカンミュージック
ミュージカルではアニメ版にはない楽曲が8曲追加されています。
レボ・Mなどアフリカ出身のアーティストたちが楽曲を提供し、アフリカの民族楽器の演奏で、大地の鼓動を感じさせる迫力あるリズムを奏でています。
ロンドンのライセウム劇場では舞台の両脇に、アフリカの打楽器演奏者がおり、迫力あるサウンドを感じることができました。
代表的な挿入歌の「サークル・オブ・ライフ(Circle of Life)」。
この舞台のテーマである「サークル・オブ・ライフ(生命の連環)」を表現したナンバーです。舞台装置「プライドロック」が円を描いてせりあがってくる際に、壮大に演奏されます。
アフリカのズールー語のアカペラと共に、舞台背景には光り輝く太陽が上がってきて、舞台の袖や劇場の座席後方からたくさんの動物たちが登場し、劇場全体がサバンナに一変したかのような演出です。
ミュージカルの序盤のサークル・オブ・ライフは、ムファサが赤ん坊のシンバを掲げており、終盤のサークル・オブ・ライフでは、シンバの子供が掲げられます。
まさに命は巡っている、生命の循環を感じ取ることができます。
ムファサとシンバによるバラード「お前の中に生きている」では、
「父も祖父もお前の中に生きている、お前を見つめている」という歌詞、ムファサ亡き後も強くたくましく成長するシンバに重ねて観ると、うるうるしてしまいました( ;∀;)
まさに、親子で観たいライオンキングです。
上演都市によって異なるご当地演出
上演する都市によってセリフに方言が取り入れられるという、ご当地演出も楽しみの一つです。
ミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァの登場シーンのセリフでは、上演する都市のご当地文化に寄り添ったものとなっています。
本場ニューヨークのブロードウェイ公演では、ブルックリン訛りの英語が使用されています。
東京公演では「江戸弁と女言葉」、札幌公演では「北海道弁」、名古屋公演では「名古屋弁」、大阪公演では「大阪弁」が取り入れられています。
ライセウム劇場の様子
ロンドンのコベント・ガーデンにある、ライセウム劇場(The Lyceum Theatre)。客席数は2,100席。
1999年からライオンキングが上演されています。
【Location】21 Wellington St, London WC2E 7RQ
劇場の起源は1765年にまで遡ります。
建築家ジェームズ・ペインが芸術家協会の展覧会のために建てたのがはじまり。
礼拝堂やコンサート会場としても使用され、マダム・タッソーが展示した蝋人形がロンドンで初めて展示されたのはこの劇場だそうです。
シェイクスピアをはじめとした数多くの有名作品を上演、クイーンやレッドツェッペリンなどのポップコンサート会場などにも使用された歴史ある劇場です。