カフェ文化がユネスコ無形文化遺産となっているオーストリア・ウィーン。
そんなウィーンのカフェ文化の歴史と、おすすめカフェをご紹介します!
数々の知識人が常連だったという歴史があり、宮殿内にあるカフェ「ツェントラル(Central)」。実際に行ってきましたので、写真と共に紹介します。
ウィーンのカフェの歴史と文化
ウィーンでカフェが誕生したのは1685年ごろ。
カフェ文化のはじまりは、「アルメニア人が皇帝から許可を得て、カフェを開店した」または、「ウィーンの包囲攻撃に失敗したトルコ軍が、撤退した際に大量に残していったコーヒー豆だったから」などと言われています。
19世紀には、新聞を読んだり、知人と話して情報交換したり、議論をする場として市民にカフェ文化が浸透しました。当時は、住宅環境が悪かったため、カフェを書斎がわりにして原稿を執筆する作家やジャーナリストも多くいたそうです。
ウィーンのカフェ文化は、2011年にUNESCO無形文化遺産に登録されました。
ウィーン市民にとっての「カフェ」は、単にコーヒーを飲むための場所ではなく、生活の一部となっています。
ビリヤードやチェスを楽しむコーナーがあったり、ピアノのコンサートや詩の朗読会が開催されたりします。コーヒー1杯で長居をしても嫌がられる雰囲気ではありません。
カフェに入ったら
①テーブルにつく
店員さんに軽くあいさつをして、好きなテーブルへ。人気店だと入口で店員さんの案内を待つ必要があったります。
コート掛けやクロークがある場合は、アウターを預けます。(貴重品は肌身離さず持ち歩きましょう)
②注文
テーブルにメニューが置かれていないこともあります。その場合は、店員さんに視線を送り、持ってきてもらいます。
③支払いはテーブルで
支払いはテーブルで行います。注文を受けた店員さんに支払います。担当の人がなかなか来てくれなくて、違う人にチェックをお願いしたら、断られちゃいました(*_*;
あまりくつろいでいる時間がなく、早く支払いを済ませたい場合は、注文の品が来たタイミングで支払いを済ませることも可能なようです。
お釣りの小銭はチップとして、会計額をキリのよい数字にするとスマートだそうです。
ウィーンのコーヒーの種類
ウィーンのカフェはコーヒーの種類が豊富です。単純に「コーヒー」と注文してもわかってもらえません。
大きさもハッキリと伝える必要があります。例えば、モカ、エスプレッソなどは小さなカップのクライナー(Kleiner)と、大きめのカップのグローサー(großer)に2種類があります。
そして、ウィーンのカフェならではの習慣ですが、コーヒーを注文するとお冷がついてきます。ただのお冷(水道水)ですが、オーストリアの水道水はアルプスの湧水。贅沢なお冷です!
【モカ(Mokka)】
濃いめのコーヒー、またはエスプレッソのこと。シュヴァルツァー(Schwarzer)とも呼ばれます。ウィーンでは厳密にはトルココーヒーのことを指すようです。
【ブラウナー(Brauner)】
濃いめのモカに、少しミルクを入れたもの。
【メランジェ(Melange)】
コーヒーと泡立てたミルクを半分ずついれたもの。ウィーンで人気のあるコーヒー。お店によってはミルクではなく生クリームを使用していることもあります。
ドイツ語とフランス語を組み合わせた造語なのだそうです。
【アインシュペナー(Einspanner)】
ホイップした生クリームを上に浮かべたモカコーヒーです。透明の耐熱グラスに入って出てくるため、横から白と黒の2層が綺麗に見えます。
日本人も聞いたことがあるウインナーコーヒーはこれが近いです。ちなみに、ウインナーコーヒーは外国人が付けた名称で、ウィーンにはウインナーコーヒーという名のコーヒーはありませんのでご注意ください。
馬車を運転しながら飲んでいたものだそうで、表面にクリームが乗っているおかげで熱が逃げにくく、寒い外でも温かいコーヒーを飲めたそうです。
【アイスカフェ―(Eiskaffee)】
濃厚なコーヒー液少々に、バニラ味のアイスクリームもしくは生クリームがたっぷりと入ったもの。飲み物というより、コーヒーパフェに近いです。
ウィーンの伝統的なカフェには、日本人に馴染みのあるアイスコーヒーはありません。
その他にも、モカコーヒーにオレンジリキュールを入れた「マリア・テレジア」というコーヒーや、生クリームとコニャックが入ったモカコーヒー「フィアカー」、モーツァルトコーヒーといった風に著名人の名がついたコーヒーなど、たくさんのコーヒーの種類があります。
宮殿内のカフェ「ツェントラル(Central)」
ウィーンのインネレ・シュタット1区にある豪華・有名なカフェ「ツェントラル(Central)」。人気カフェとだけあって大行列です!今回は事前にオンライン予約して行きました。
店の前の通るのは、ゆったりと走る観光馬車フィアカー(Fiaker)。リズミカルな蹄の音で、優雅に通り過ぎていきます。
店内はこちら。
フェルステル宮殿内だった建物をカフェに改装してオープンしたというだけあって、高い天井に柱が立ち並ぶ贅沢な内装です。
YouTube動画でも紹介しています。ピアノ生演奏と豪華な内装、カフェの優雅な雰囲気が伝わるかと思いますので、よろしければご視聴・チャンネル登録をお願いいたします(^^)/
かつては作家のペーター・アンテンベルク、アドラー心理学で有名な心理学者アルフレッド・アドラー、などのウィーンの知識人が集う文学カフェだったそうです。チェスの対局もよく行われていたそうで、こちらのカフェは「チェス学校(Die Schachhochschule)」とも呼ばれていたとか。
文学史に名を残す歴史的なカフェです。
ケーキや料理も絶品で人気です。
ザッハトルテに並ぶウィーン名物のケーキ「アプフェル・シュトルーデル(apfel strudel)」
渦巻き型のアップルケーキです。生地はサクサクしたパイ生地とは違い、モチモチと弾力のあるものです。
席に着席。
席から見える店内もまた豪華で美しいです。フロアの中心では、ピアノ演奏されていました。
カフェメニューはこちら。ビールやワインも提供しているのですね。
食事メニューはこちら。
注文したものが到着しました。
「ウィーナー・メランジェ(Wiener Melange)」、5.3ユーロ(約800円)。
コーヒーと泡立てたミルクを半分ずついれたものです。
「アインシュペナー(Einspanner)」、5.4ユーロ(約800円)。
ホイップした生クリームを上に浮かべたモカコーヒーです。
コーヒーには小さいチョコレートが一つついてきました。やわらかく、香ばしいナッツが入っています。
数々の知識人も訪れたという、文学史に名を残す歴史あるカフェ「ツェントラル」。カフェ文化が文化遺産であるウィーンで、ぜひ訪れたいカフェです。
ウィーン観光の際はぜひ予約して行ってみてください(^^)/
ここまで読んでいただきありがとうございました。