続いて、ホール西側の天井画。
中央には大型船の船尾が描かれています。敵からの戦利品が溢れんばかりに盛られた英国軍艦です。
戦艦の左側には、拿捕したフランス船の戦旗を掲げた、羽根が生えた男性が描かれています。羽根は勝利の象徴なのだそうです。
船の下の女性はロンドン市を表し、その下はテムズ河、アイシス川、タイタン川を表しています。
袋からこぼれる石炭は、当時それらの川で石炭が運搬されていたことを表しています。
望遠鏡をのぞいている男性はガリレオ。
天文学・地図作成に使用されるコンパス・三角定規・地球儀など、様々な道具が描きこまれています。
天文学・科学の進歩でイギリスの商業が発展し、それによってもたらされた勝利・富が表現されています。
絵画の下にはウィリアム3世とメアリー2世の紋章。石で作られており金箔があしらわれています。
中央天井画の下書き
鉱物を砕いて亜麻仁油と混ぜた染料が使用されています。
ウルトラマリンブルーや朱赤など、色が鮮明で高価な色は、王族を描くのに使用されたそうです。
また、本物の金箔を張る職人もいたのだとか。
ペインテッド・ホールは、ウィリアムとメアリーの「栄光の革命」に始まり、メアリーの妹アン女王とジョージ1世まで続いたプロテスタントの王位継承を美化して描かれたものでもあります。
当時、プロテスタントは王政を、カトリックはウィリアムの敵であるフランスのルイ14世の象徴というイメージがあったそうです。
ウィリアムとメアリーは、メアリーの父ジェームズ2世を倒し、英国貴族有力者の支持を得て、プロテスタントの君主制を確立しました。