イギリス・ブライトンにある、英国王室の離宮「ロイヤル・パビリオン(Royal Pavilion)」。快楽王・放蕩王と呼ばれる国王ジョージ4世が、海辺の別荘として建てた宮殿です。
インド・イスラム風、中国風と様々な建築様式がエキセントリックな建築物です。
そんなロイヤルパビリオンに行ってきました!
外観や内装、当時の暮らしぶり、リージェンシーファッショやアンティーク、チケット入場料など、たっぷりの写真と共に紹介します。
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イングランド南部の都市「ブライトン(Brighton)」
イングランド南部の都市、ブライトン(Brighton)。ロンドン、リバプール・ストリート駅から電車で1時間の距離にある、イギリス有数の海浜リゾート地です。
観光名所がコンパクトに収まっており、1日あれば一通り回ることができるのも魅力的な観光都市です。
ブライトンは昔は田舎町でしたが、1750年にイギリス人医師が「海水浴」を健康法として唱えたこと、
そして、ジョージ4世が海辺の別荘として王室の離宮である「ロイヤル・パビリオン(Royal Pavilion)」を建てたことで、
高級リゾート地としての地位を確立。上流・中流階級の人々の保養地として人気を集めました。
海浜があるリゾート地であり、大学・教育施設が多く学生が多いため、パブやナイトクラブが多数あり、パーティ・タウンとしても有名です。
さらに、ブライトン・センター (Brighton Centre) を始めとする大規模なライブが行われる施設も数多くあります。
夏場はイングランドのパリピが集まるスポットとなります(;’∀’)
また、ブライトンはLGBTコミュニティ・援助する団体が多い街で、「イギリスにおける同性愛者の首都」と呼ばれることもあります。
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ロイヤル・パビリオン(Royal Pavilion)
ロイヤル・パビリオンは、摂政王太子(後の国王ジョージ4世)がブライトンの浜辺を気に入り、1800年代初頭にブライトンに海辺の別荘として建てた王室の離宮です。
イギリスで建築上・歴史上重要な建築物で法的に指定された建築物である、イギリス指定建造物1級(Grade I)に指定されています。
チケット料金は、大人1人17ポンドでした。(※後述のi360とセットで25.95ポンドのお得なチケットがあります(個別で両方買うと34.5ポンド))
年間30万人が訪れる、ブライトンの観光名所です。
ロイヤル・パビリオンの外で、結婚式やコンサート、パーティが開催されることもあるそう。
インド・イスラム風のエキゾチックで美しい外観と、当時ヨーロッパで人気だった中国風(シノワズリ)のオリエンタルな内装というエキセントリックな建築物です。ジョージ4世国王は休暇の大半をこの街で過ごしたのだそう。
40年の歳月をかけて建てただけあり、細部まで造り込まれています。ブライトンの目玉となっている建築物です。
インド・イスラム風の外観に対して、内装は竹、龍、蓮、塔といった中国的なシンボルや中国風の絵画・文様が各所に見られます。
こちらのロイヤル・パビリオンを建てたジョージ4世は、快楽王・放蕩王と呼ばれるほど遊びと浪費が好きでした。悪名高き王として名を残しています。
そのため、建設だけでなく、完成後の社交会にも莫大な経費が使われました。
英国王室に経済的負担をかけたというマイナス面がある一方で、建築・芸術・工芸・ファッションなどの面で大きな貢献をしたと言われています。
ロイヤル・パビリオンに関連する歴史年表。
第一次世界大戦中には、軍事病院として使用された歴史もあります。
ロングギャラリー。壺や置物などの工芸品が並べられています。
西洋と東洋がミックスされた、豪華な装飾。竹や龍など、アジア風のデザインが施されています。
シノワズリ(”chinoiserie”。フランス語で「中国趣味」のこと。17世紀中頃、中国の影響を受けてヨーロッパで流行したデザイン)の影響が見て取れます。
デザインはアジア風ですが、暖炉周辺のインテリアの配置はどことなく洋風な感じもします。
中国の様式をそのまま使っているのではなく、西洋人の憧れとしてある「エキゾチックな東洋文化」が表現されているようです。
天井のガラス窓、ランプも美しいです。
光が透けて輝いているこちらの白いドレスは、当時の摂政時代(Regency period)のファッションにインスパイアを受けて制作されたものだそうです。
こちらは宴会場(Banqueting Room)。食事・饗宴は、ロイヤル・パビリオンの生活の中心でした。
天井には巨大なカットガラスのシャンデリア。その下には、豪華な晩餐会のテーブルが準備されています。
長さ9.1メートル、重さ約1トンにもなる大きなシャンデリア。
蓮のライトシェード、6匹の銀色のドラゴンで飾られています。夜はもっと幻想的な見え方をするのかもしれません。
ロイヤル・パビリオンの建設だけでなく、完成後の社交会にも莫大な経費が使用されていたそうです。こちらの宴会場では、さぞ豪華な晩餐会が開催されていたことでしょう。
中国の生活風景を描いた壁掛けのキャンバス。
贅沢が好きなジョージ4世の好みに沿った、豪華絢爛なデザイン!そしてアジア風の装飾が多く、ジョージ4世が異文化に興味を持っていたことがよくわかります。
天井やシャンデリアには、ドラゴンの装飾があしらわれています。
東洋の龍のようでもあり、翼がある辺りは西洋のドラゴンのようでもあります。
テーブルセットも豪華絢爛。東洋と西洋が混ざり合った豪華絢爛なテーブルですね。
ロイヤル・パビリオンでの夕食は午後6時からスタート。招待客には70品もの手の込んだ料理が提供されたそうです。
テーブルセッティングには、1810年製の磁器製ディナーサービス、リージェンシー様式の燭台、銀金箔で装飾されたセンターピース、デザートスタンド、フルーツバスケットが並んでいます。
テーブルクロスから顔を出しているのは、猫のぬいぐるみ。
こちらのネコは、ロイヤル・パビリオンに住み着いた野良猫、パビリオン・キャットのジョージ。こちらの実話をもとにした絵本も制作されています。
また、お土産ショップに、こちらのネコのぬいぐるみも販売されておりました。
宴会場のお隣には、キッチン(Great Kitchen)。
豪華な宴会場に相応しく、広々としたキッチンです。たくさんの銅製の料理器具と窯、そして食材たち。当時の最新技術、フランスの水準に合わせて設計された調理環境です。ほとんど当時そのままの形で残っているそうです。
広々として明るく、風通しがよく、水は近くの井戸から汲み上げていました。当時の有名なフランス人シェフを招いて料理を作らせたこともあったそうです。
ジョージ4世が、料理をこよなく愛していたことがよくわかります。
きらびやかな銅製の鍋やフライパンが展示されています。
調理器具を収納するための木製の棚やドレッサーは、地元の大工によって作られたものだそうです。
スモークジャックを備えた直火の調理設備や、煮込み用コンロ、食材や料理の保温のためのスチームテーブル。
ジョージ4世の宴会では、70種類もの料理を提供する必要があったため、保温のためのスチームテーブルは必要不可欠なものでした。
ワインを管理する使用人は、ワインの専門的な知識を必要とすることから、当時としては高給取りの年俸500ポンドだったとか。
天井は2階に吹き抜けており、2階の窓からの光も差し込んできています。
当時のロイヤル・パビリオンの使用人は、このような組織図で構成されていたようです。
専任のお菓子職人も雇われていたそうです。繊細な砂糖菓子、フルーツ・デザート、アイスクリームまで。庭園には氷室があり、その氷室の氷を使ってアイスクリームを作っていたそうです。
こちらは、応接室(The Saloon)へと続く廊下。
1831年に、サセックス公爵の誕生日を祝う舞踏会が、こちらのロイヤル・パビリオンで開催されました。展示されているこちらのドレスは、その舞踏会の招待客が着用したドレスをイメージして制作されたものです。
ロイヤル・パビリオンの音楽室にある、赤と金で描かれたキャンバスからインスパイアされてデザインされました。
宮殿の中で最も壮麗な部屋、応接室(The Saloon)。ロイヤル・パビリオンの中で、現存する最古の部屋です。
宮殿ロイヤル・パビリオンのこちらの応接間は、晩餐会に参加する客人を、宴会場へ通す前にジョージ4世が迎える場所です。
宮殿の主任装飾芸術家であるロバート・ジョーンズによってデザインされたもの。
現存する歴史資料を活用し、可能な限り本物によせて修復されました。豪華な織物のカーペットは、オリジナルのカーペットを製作した会社に、再度製作を依頼して出来上がったものです。
大胆な真紅と、金、銀の輝きが調和しており、当時そのままの息を吞むような輝きを保っています。王の地位を表現した設計と言ってもいいでしょう。
そしてまた、廊下が続きます。中国と西洋が混ざり合ったインテリアです。
こちらは、音楽室(Music Room)。
音楽とダンスは、ロイヤル・パビリオンでの生活において重要なものでした。プライベートブランドを持っていたほど、ジョージ4世は音楽を愛していました。
見事な中国風の装飾があしらわれたドーム状の天井。そのドーム状の天井により、完璧な音響効果を生み出しています。
当時は、盛大なコンサートや舞踏会が開催されていました。
こちらの音楽室も、蓮の花やドラゴンなど、中国風・シノワズリの影響を受けています。
蓮の花をモチーフにしたシャンデリア。クラゲが逆さまに落ちてきているかのようで綺麗です。
壁には、赤字に金で山水画のような風景が描かれています。
こちらのあるアンティークのオルモルクロック(置き時計)は、レプリカです。オリジナルのオルモルクロックは、バッキンガム宮殿に移され、現在でもそちらで使用されているそうです。
こちらのドレスは、このロイヤル・パビリオンの音楽室にインスパイアされてデザインされたもの。
トレーン(ドレスの後ろに長く引きずるスカートの裾の部分)には、ハーシェルの交響曲第8番ハ短調の音符を反映した星があしらわれているそうです。
スカートの中央には紙の劇場があり、こちらの音楽室が描かれています。
そしてこちらは、王室の寝室(Royal Bedrooms)。たくさんいる使用人の中でも、ごく限られた使用人だけが入室を許可されていました。
ロイヤル・パビリオンの他の部屋と比べると、寝室は落ち着いた雰囲気です。なんでも、寝室は、見栄えよりも快適さを重視して設計されたとか。豪華さや色彩も控えめで、天井もそれほど高くありません。
優れた職人技で製作された、手描きの壁紙や中国の水彩画など。リージェンシー様式の素晴らしい家具もいくつか見られます。
こちらの王の机は、日本製の漆塗りだそうです。
こちらは、ジョージ王朝時代のイギリス海軍のコスチュームだそうです。
寝室の隣には、書斎。
廊下には、また中国風のランプや家具など。
階段の手すりは、竹製かと思いきや鋳鉄(ちゅうてつ)。当時の建築材料としては最新のものだそうです。
ロイヤル・パビリオンのミニチュア模型。
19世紀の絵画・風刺画が展示されているエリアもありました。
William Heath 作 『which is the dirtiest – so foul the stains will be indelible』1820年
どちらが汚いか?というタイトルにあるように、お互いにバケツに入った泥をぶつけ合っている男女が描かれています。
左側の男性はジョージ4世、右側の女性はジョージ4世の妻であり王妃であるキャロライン王妃です。
ジョージ4世が「イタリアの汚物(’Italian Filth’)」と書かれたバケツから泥を取り、投げているのは、当時、キャロライン王妃がイタリア人の恋人と不倫関係にあったことから。
一方で、キャロライン王妃はカニンガム候夫人の住所である「’Filth from St Giles’s, St James, Portman Sqr, Hamilton Place」と書かれたバケツから泥を取り、投げています。これは、カニンガム候夫人が、ジョージ4世の愛人であることから。
ジョージ4世とキャロライン王妃は、お互いに相手の信用を落とし、自分の支持を得るためにマスコミを利用していました。その様子を風刺した絵なのでしょう。
中国の絵に興味があったというジョージ4世。今でもロイヤル・パビリオンには、そのコレクションが展示されています。
その他にもたくさんの絵が展示されていました。
ヴィクトリア女王の寝室。
ヴィクトリア女王は、1837年から1845年にかけて何度もロイヤル・パビリオンを訪れていました。
ヴィクトリア女王の寝室のベッドは、おとぎ話に出てくるようなマホガニーの四柱式ベッドです。
19世紀に作られたという英国製カウチソファ。
可愛らしい帽子が目に留まりました。真っ白なボンネット帽子。
金細工の技法の一つであるフィリグリーからインスピレーションを得て作られたという、こちらのボンネット帽子。フィリグリー模様が美しいです。
日差しから顔を守るための帽子だそうですが、こちらのかぶっているとフィリグリー模様に日焼けしてしまいそうですね(;’∀’)
他にもいくつかの部屋を見学できました。
たくさんの専門家・職人たちによって、このロイヤル・パビリオンは修復・維持されています。
こちらの摂政時代(リージェンシー時代)の衣装は、光と影にインスピレーションを得て制作されたもの。
ベルトのバックルには、リージェンシーファッション・アクセサリーに多用されたフィリグリー(線細工)の金属細工モチーフのデザインが施されています。
ロイヤル・パビリオンの出口には、お土産ショップがありました。
ロイヤル・パビリオンからインスパイアされたお土産だけでなく、ブライトンをテーマにしたお土産も。
ロイヤル・パビリオンの各部屋で見かけたこちらのネコちゃん。パビリオン・キャットのジョージのぬいぐるみも販売されていました。
以上、英国王室の離宮「ロイヤル・パビリオン(Royal Pavilion)」の紹介ブログ記事でした。
当時の暮らしぶりや、英国王室の歴史を学べるほか、
リージェンシー時代のファッションやアンティーク家具などを観て回るのも楽しかったです!
イギリス・ブライトン観光の際は、ぜひ立ち寄ってみてください。ここまで読んでいただきありがとうございました。