数々の名曲と高い歌唱力で、世界中の人々を魅了するミュージカル『レ・ミゼラブル(Les Misérables)』。
ロンドンの歴史ある劇場「ソンドハイム劇場(Sondhaim Theatre)」で観劇してきました。
見どころ・チケット料金・劇場の様子などを、写真と共に紹介します!
ミュージカルの中でも歌が多い!フランス史を勉強したくなるような作品!!
レ・ミゼラブル Les Misérables
ざっくりあらすじ
ミュージカル「レ・ミゼラブル」は、1862年のロマン主義フランス文学小説「レ・ミゼラブル」をもとに、1980年にパリで初公演されたミュージカルです。
そのパリ版を編集してロンドンで公演をスタートし、瞬く間に大ヒット。トニー賞8部門を受賞する快挙を達成しました。
以来、1985年から現在に至るまで38年間ロングラン上演されています。
お話の舞台は、19世紀初頭、フランス革命後の混沌に満ちたパリ。19世紀の混乱の中、生き抜いた民衆の生き生きとした姿、波乱万丈な人間模様を描いた物語です。
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妹の子供のために、パンを盗んだ罪で19年間もの監獄生活を送った、主人公ジャン・バルジャンの話から始まります。
心優しい司教の愛に触れた彼は罪を悔い改め、偽名を使って真面目に働き、人々からの人望が厚い工場経営者兼市長になります。
新しい人生を送っていたジャンバルジャンですが、警察ジャベールが彼が元囚人であることを暴こうとし、ハラハラさせる展開になります。
ジャンバルジャンが経営する工場で働く、女性ファンティーヌ。未婚であるのにも関わらず隠し子コゼットがいることがバレて、ジャンバルジャンが出張中に工場を解雇されてしまいます。
ファンティーヌはお金を稼ぐため、自分の髪や歯を売り、最後には身体を売る娼婦となり身はボロボロに。
そんなファンティーヌを発見したジャンバルジャンは、彼女を病院へ送りますが、安らかに息を引き取るファンティーヌ。預けられた先で奴隷のように扱われていた、彼女の娘のコゼットを養子として引き取ります。
時は過ぎて舞台は、9年後のパリ。
捕まえようとするジャヴェール警部から逃げたジャンバルジャンは、コゼットとパリで暮らしていました。そんなパリで美しい女性へと成長したコゼットは、反政府組織のメンバーである青年マリウスと恋に落ちます。
パリでは貧困層が生活に苦しんでおり、街は混乱状態。学生運動、革命の気運が高まっていました。
パリで革命と暴動が吹き荒れる激動の時代、ジャンバルジャン・コゼット・マリウス・ジャヴェール警部などの各登場人物が各々の決断を下し、物語は佳境へ…。
「不条理な環境・世の中であっても、愛や信頼が人を変え、民衆の力が世の中を変えることができるのだ」というメッセージが伝わる物語となっています。
レ・ミゼラブルの映画版のキャッチコピーは「愛とは、生きる力」でした。
ソンドハイム劇場 Sondhaim Theatre
「ソンドハイム劇場(Sondhaim Theatre)」(旧クイーンズ・シアター)で、観てきました。1907年にクイーンズシアターとして設立された、ロンドンの歴史ある劇場です。
約1200人を収容できるキャパがある劇場です。
チケット料金
チケット料金(2023年4月現在)は、以下の通り。
1階席 ストールズ(Stalls):47~175ポンド
2階席 ドレス サークル(Dress Circle):47~150ポンド
3階席 アッパー サークル(Upper Circle):20~70ポンド
1階席の中央よりやや前の部分が、一番値段が高いみたいです。
公演スケジュールは、月曜日から土曜日の19:30から。木曜と土曜は、昼と夜の部で1日2回公演されます。日曜は休演日です。
1階席からの見え方
1階席のT14席、中央よりやや後ろの席からの見え方はこんな感じでした。
なるほど、上には2階席があるため、ステージの上部分は見えにくいです(*_*)1階席の中央より前の席が高い理由がよくわかります。
革命軍と政府が衝突する激しいシーンは、ステージを広く使っており、高い位置にいる人があまりよく見えないのは少し残念でした。
それでも、私は十分楽しめましたが「全体を余すことなく観劇したいんだ!」という方は、1階席前方または2階席前方が良いかもしれません(*_*)
1階席後方からの景色はこちら。
バー
『オペラ座の怪人』を公演しているハー・マジェスティー・シアターと比べると、観客数に対してバーエリアが広々としている印象でした。あまり、混雑しておらずスムーズに注文出来ました。
ジントニックを注文。客席で飲むことができます。
見どころ・感想
数々の名曲が素晴らしかったです!レミゼを観劇したことない方でも、一度は聞いたことがあるような曲があるのではないでしょうか。
作詞・作曲は、アラン・ブーリルとクロード=ミッシェル・シェーンベルグのコンビ。物語を美しいメロディで引き立てています。
そして、セリフのほとんど、というより全部歌ってないか?!というくらい、ほとんど歌っています(;’∀’)笑
それほどまでに、曲が多いです。サントラ購入待ったなし。
ミュージカルに抵抗感がある人が「急に歌い出すのが不自然でおかしい。」と言ったりしますが、その違和感を覚える間もないほど歌っております。
通常、ミュージカルはドラマチックな劇的な展開は歌い、そうでもない普通のシーンはお芝居のみです。しかし、レミゼはほとんどが歌・ミュージカル!展開がすごく早いのです!
映画を観ているようなテンポの早さ!(;’∀’)
フランス革命で民衆が声を上げて歌う「民衆の歌 / Do You Hear the People Sing? 」
力強い歌で、聴くだけで勇気をもらえる感覚・感動があります。
革命の歴史と、意思表明することで色々と勝ち得てきた国なので、フランス旅行先でストライキで不便な目にあっても
「フランスだから仕方ないか…革命の国だもんな…」
と納得させられてしまうほどの、パワーがありました(;’∀’)
せつなさ全開の有名な曲「夢やぶれて / I dreamed a dream」。映画版でアン ハサウェイが歌ったことでも有名です。
身も心もボロボロになり、失意のどん底にいるファンティーヌの絶望が伝わってきます(*_*)
今作でアン・ハサウェイはアカデミー賞助演女優賞を受賞しました。
豪華な舞台演出・舞台装置も見どころの一つです。
物語は長い時間軸で描かれているため、8年後だったり9年後だったりと、場面の切り替わりが多いミュージカルではないかと思います。
ゆえに、舞台の背景・装置のバリエーションの多さに驚くこと間違いなしです!
切り替わりが多いにも関わらず、ぐっと惹きこまれ集中力を持って観続けることができます。
革命が起きたパリの騒乱も、豪華な舞台セット・照明効果のおかげで、目が離せない迫力あるシーンになっています。
また、民衆の歌の時の照明も素晴らしく、民衆の力強い生きる力・希望がしっかりと伝わってきます。
舞台装置と照明効果がもう…すごい!!(語彙力)
個性ある魅力的な登場人物たち。
初期のジャンバルジャンには、貧しかったり愛に飢えていると他人に優しくできないし、他人を信用することもできないという人間らしさが描かれています。
私のように貧乏を経験したことがある人間には刺さるストーリー( ;∀;)
ジャンバルジャンやコゼットの他人を思いやる美しい心にも胸をうたれます。
ジャンバルジャンの成長と、コゼットに繋がっていくストーリーに感動!(*_*)
また、悪役(ヴィラン)の個性も際立っています。
正義と人情のはざまで葛藤するジャヴェール警部はもちろん、コゼットを虐待していたテナルディエ夫妻の悪役ぶりが徹底しており、最後まで悪を貫いているのもいいですね。
マリウスに思いを寄せる”悲劇のヒロイン”エポニーヌ。
「マリウスを愛しているからこそ、彼の恋・幸せを応援したい。例え、彼の隣に立つのが私でないとしても…」なんて、悲しくも美しく涙なしでは見ていられません(*_*)
正直、コゼットよりも印象に残るエポニーヌ。いい女すぎる…( ;∀;)
フランス革命の歴史を少し知っていると感情移入しやすいかと思います。ちょっとだけ予習していくことをおすすめします!(バル薔薇を知っていれば十分かと)
ぜひ、ミュージカル『レ・ミゼラブル』、劇場でご覧ください!