ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)その③

イギリス
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入り口入ってすぐの様子。内装の美しさ・天井の高さに圧倒されてしまいます。

 

 

YouTube動画でも紹介しています↓

 

 

軽食と飲み物で、休憩できるカフェもあります。なんとこちらV&A博物館にあるカフェは、1868年にオープンしたという世界初の博物館併設カフェ

ジェームズ・ギャンブル、ウィリアム・モリス、エドワード・ポインターがデザインした豪華な内装の客室は、ビクトリア朝時代のデザインが施されています。

 

 

 

 

 

息を吞むような美しさで豪華な内装のカフェですが、食べ物・飲み物のお値段は、スタバで飲食するのとそんなに変わらないくらいです。

標準税率20%と、外食は割高なロンドンということを踏まえると、かなりコスパの良いカフェかと思います!

 

カフェの詳細は前回記事その①で、紹介しています↓↓

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)①
ロンドンのサウスケンジントン(South Kensington)駅が最寄の、「ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(Victoria and Albert Museum,V&A)」 1852年に若いデザイナー・芸術家...

 

 

 

展示品

フリーパンフレットに記載のある代表20作品、気になるものから、いくつかご紹介します。

 

The Three Graces, 1814-17年 三美神像

古代ギリシアの神話に登場するゼウスの娘である、三姉妹の彫刻。新古典主義彫刻の傑作として有名なものだそうです。

イタリアの彫刻家であるアントニオ・カノーヴァが、イギリスのコレクターのために、1815年から1817年にかけてローマにて製作したものです。

18世紀後半から19世紀初頭にかけて、ギリシャ神話やローマ神話を題材にした彫刻は、ヨーロッパ美術の最高峰とされました。

 

ゼウスの娘の三姉妹は、写真の左からエウプロシュネー、アグライアー、タレイア。

エウプロシュネーは「歓喜」、アグライアーは「気品」、タレイアは「若さと美しさ」と、それぞれ人々にギフトをもたらすと言われています。

 

 

 

Evening dress, 1938年 イブニングドレス

1938年に作られた、こちらの鮮やかなイブニングドレス。

一見、1930年代に流行したシュルレアリスム風の、顔がたくさん散りばめられた遊び心のあるデザインのドレスです。

 

実は、プリントされている顔は、フランスの作家兼画家である”Jean Cocteau”と、彼の恋人の”Jean Marais”のポートレート。

“Jean Cocteau”がデザインしたこの生地を、彼の友人でデザイナーの”Charles James”がドレスに仕立て上げたものがこちらの展示品のドレスです。

 

LGBTQIA+のアイデンティティが確立されつつあった時代に、このドレス製作に関わる男性全員がゲイまたはバイセクシャルであったことから、

20世紀初頭におけるクィア※コミュニティのコネクションがわかるものです。

※クィア…元々は「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」などの意味で、同性愛者への侮蔑語でしたが、1990年代以降は性的少数者や、LGBTのどれにもにあてはまらない人々全体を包括する用語として肯定的な意味で使われています。

 

 

 

The Victory Service, 1813-16年 勝利の食器・茶器

このサービス(食器・茶器などの一式)は、半島戦争(1808~1814年、スペイン独立戦争ともいう)におけるナポレオンの占領軍からのスペイン・ポルトガルの解放を記念するもので、

ポルトガル国からウェリントン公爵に贈られたものです。

フランスのナポレオン占領軍に対して、イベリア半島の民衆は蜂起し、ゲリラ戦を展開します。ちなみに、「ゲリラ」という言葉は”小さな戦闘(guerrilla)”という意味のスペイン語からきています。

半島戦争では、イギリス軍がスペインに上陸してスペイン軍を援助しました。

 

この贈り物である、シルバーの食器・茶器・カラトリーは、ポルトガルの宮廷画家の監修のもとでデザインされました。

トロフィー、月桂冠、敵を石に変えたメデューサの顔など、勝利と権威を表す古典的なシンボルが装飾されています。

 

燭台には、スペイン、イギリス、ポルトガルがフランスに対抗するために結んだ軍事同盟を象徴する3本の槍が飾られています。

また、1812年にポルトガルの皇太子から、イギリスのウェリントン公爵に贈られた「勝利の公爵(’Duque da Victoria’)」という称号の紋章が描かれているものもあります。

 

 

 

The Devonshire Hunting Tapestries, 1430-50年 デボンシャー・ハンティング・タペストリー

このタペストリーは、1430年から1450年にかけて制作された、大きく美しいデザインの4枚のタペストリーで、猪、熊、白鳥、ラッコ、鹿、鷹狩りのシーンが描かれています。

また、聖書や神話の有名な物語、愛や戦争といった普遍的なテーマも描かれています。

この規模の、質の高いデザインのタペストリーは、現存するものがほとんどないそうです。

フランスの都市アラスで製作されたもので、シュルーズベリー伯爵夫人が所有していたものと考えられています。1957年に、デボンシャー公爵家の財産から博物館に収蔵されました。

 

中世からルネサンス時代にかけての時代では、タペストリーはとても高価なもので、城での断熱・装飾の役割を担っていました。

また、当時は識字率が低かった時代。絵画のように視覚的にわかりやすいものは重要なもので、物語があるものは家庭や客人に娯楽を与えるものでした。

特に狩猟は、この高価なタペストリーを主に所有していた上流階級の人々にとって、身近な娯楽でした。ヘンリー8世は、鷹狩りや狩りの場面を描いたタペストリーを200枚以上所有していたのだそうです。

 

このタペストリーには、優雅なカップルが何組も登場します。タペストリーの中央には、「much desire」という標語を綴った文字が前後左右にあしらわれた、豪華な青いガウンを着た女性が描かれています。男性の袖には、涙のしずくを思わせる銀色の装飾が施されており、これもまた愛の追求に関連しているとのこと。

右隣の女性の赤いガウンの裏地は、ミニバーと呼ばれるバルト海のリスの腹から取れる高価な毛皮で覆われているそうです。この規模の裏地には、冬の間に殺されたリスの皮が何百枚も必要だったのだとか。

 

 

 

Clock, 1795-97年 時計

フランスのセーヴル工場にて、時計師キナブルによって作られたというこちらの高価なクロック。磁器、金メッキ、銅合金、ガラスなどから作られています。

このクロックは1785年に発表され、1789年から起きたフランス革命後も、フランスのセーヴル工場で作られました。

アポロン(ギリシャ神話で、光明・医術・音楽・予言をつかさどる若く美しい神)の竪琴の形をしたこの時計は、ギリシャ神話の神々の頭部を載せ、美しい金メッキの装飾が施されています。

 

 

 

Luxury Tea and Coffee Sets, 1761-75年 ティー&コーヒーセット

18世紀ヨーロッパの裕福な家庭では、日常的な社交の場で、当時は高級品であった紅茶やコーヒー、チョコレートなどの温かい飲み物が楽しまれていました。

そのような場面で、写真のようなティー&コーヒーセット・お揃いのトレイがよく使われていました。

 

写真左下のブルーのティーセットは、フランスのセーヴル工場製のティーセット。1761年に作られたもので、磁器にエナメル彩色と金メッキが施されています。

写真右上のティーセットは、当時の南オランダ、現在のベルギーのトゥルネー工場製のティーセット。1775年頃に作られたもので、磁器にエナメル彩と金彩が施されています。

 

 

 

家具、彫刻、陶磁器、ファッション、写真、デザインに興味がある人には見逃せない作品がたっぷりあるV&A博物館、興味ある方はぜひ立ち寄ってみてください(^^♪

 

 

 

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