イタリア・ミラノにある「レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館(Museo Nazionale della Scienza e della Tecnologia Leonardo da Vinci)」に行ってきました。
見どころ、展示内容、チケット料金、アクセスなど、写真と共に紹介します。
レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館
イタリア・ミラノにある「レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館(Museo Nazionale della Scienza e della Tecnologia Leonardo da Vinci)」は、1953年2月にオープンした、レオナルド・ダ・ヴィンチの生誕500年を記念して作られた国立博物館です。
科学的思考・工業技術の発展をテーマにしています。博物館が入っている建物は、11世紀から16世紀に修道院として使われていた建物なのだそうです。
3つの建物からなり、それぞれ記念館、鉄道館、空と海の交通館とカテゴリー別に展示されています。
一番の見どころは、記念館(入口のある建物)の2階にあるレオナルド・ダ・ヴィンチ・ギャラリーです。ヘリコプターや城壁を攻撃するための装置など天才「レオナルド・ダ・ヴィンチ」関する資料・設計図・模型などが展示されています。
鉄道館、交通館には、SL車両や飛行機などが展示されており、小さいお子さんも楽しめます。
最寄りの地下鉄線の駅からは徒歩6分です。
営業時間は、夏季は10~18時(土日祝は19時半まで)、冬季は9時半~17時(土日祝は18時半まで)。入場は閉館30分前までです。
定休日は月曜日、休業日は1/1、12/24・25です。所要時間は2時間程度です。
チケット料金は、大人は14ユーロ、7~18歳は9ユーロ、6歳以下は6ユーロでした。3名以上の家族であれば、ファミリーチケットで、大人10ユーロ、子供6ユーロになります。
最新の情報は公式サイトでご確認ください。サイトはこちら<https://www.leonardo3.net/en/>。イタリア語だけでなく、英語表示ができます。
博物館の近くには、レオナルド・ダ・ヴィンチの著名な作品の1つ「最後の晩餐」がある、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院があります。
レオナルド・ダ・ヴィンチ
レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年4月15日-1519年5月2日)は、盛期ルネサンス期イタリアの博学者です。
「モナリザ」「最後の晩餐」という有名な作品を残し、画家・芸術家としての印象が強いですが、彼が活躍したのは芸術の範囲に留まりません。
発明、建築、科学、音楽、数学、工学、文学、解剖学、地質学、天文学、植物学、筆記学、歴史学、地図学など…。数々の分野に、顕著な業績と手稿を残したとされています。
ちなみに、レオナルドの「姓」であるダ・ヴィンチは、「ヴィンチ(出身)の」を意味します。そのため、レオナルド・ダ・ヴィンチは「ヴィンチのレオナルドさん」といった意味合いです。
実際に行ってきました
記念館のレオナルド・ダ・ヴィンチ・ギャラリー
天才「レオナルド・ダ・ヴィンチ」関する資料・設計図・模型などが展示されています。
油圧のこぎり、飛行機、戦車など、ダ・ヴィンチの図面から再現された数多くの展示品が並んでいます。
「Leonardo’s aerial screw(空気スクリュー)」
レオナルド・ダ・ヴィンチは、1494年から1499年までミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァに軍事技術者として雇われた際、1480年代後半に「空中スクリュー」の設計図を描いています。その設計図を基に組み上げた模型です。
「演劇の見世物のために考案されたもの」であると考えられています。
円形の強固な土台の上に、中央の垂直なポールを3本の斜めの部材で支え、上部には水流ではなく空気を意図した渦巻き状の「空気スクリュー」といった構造です。
レオナルド・ダ・ヴィンチの設計図では、数人の乗組員が木製の台に乗り、帆を回転させるハンドルを持ちながら、中央のポールの周りを走ることを想定しているそうです。レオナルドのメモによると、空中スクリューを素早く回転させると、空気を押し出し、構造物を空中に浮き上がらせることができるようです。
この空気スクリューヘリコプターが実際に飛ぶとは思われていませんでしたが、2019年に最新の素材・技術で再現し、ちゃんと飛ぶことが実証されたそうです。
軽量で強度がある素材、強力なスクリューの駆動装置があれば、大型化して人間を乗せることもできる可能性があるとか…。
500年前にこの設計図を書いていたレオナルド・ダ・ヴィンチ…すごいですね!(;’∀’)
こちらの空気スクリューは、昔の全日空の尾翼に、ロゴとして描かれていたそうです。
「パラシュート」
1485年にレオナルド・ダ・ヴィンチがスケッチブックに描いた、ピラミッド型の布製パラシュートです。
底辺と高さが約7mの四角錐の形をした想像力に富んだ構造のパラシュート。この設計は、空気が圧縮され、鳥の体、ひいては飛行機械の抵抗と支えになるという直観に基づくものだそう。
2008年に、スイス人男性が、レオナルド・ダ・ヴィンチの設計のパラシュートのレプリカを制作し、実際に650メートルの降下に成功しました。
「レオナルド・ダ・ヴィンチのデッサン」
レオナルド・ダ・ヴィンチにとって、デッサン・メモは研究・分析に欠かせないものであり、彼の柔軟な思考を表現するための効率的な手段でもありました。
彼のデッサンは、平面図、断面図、透明図、分解図など、数多くの表現技法を用いて描かれています。
人体を最も完璧な機械として研究・分析したレオナルドは、解剖学的なデッサンには、建築図面に使用される技法を用いており、ルネサンスらしい「建物と身体の相似性」を想起させるデッサンとなっています。
初期の頃のデッサンには文章・注釈は少ない物でしたが、ミラノで過ごした時代に文章力を磨き、1480年代後半からは、レオナルド・ダ・ヴィンチ特有の鏡文字の長い説明が添えられることが多くなります。
「フランス学士院所蔵の、レオナルド・ダ・ヴィンチの原稿B」
レオナルドが残した約7000ページの大量のデッサンは、ほぼオリジナルの形で残っています。
また、レオナルドが製本したノートをさらに製本したものや、レオナルドが製本したノートからページを抜き取り一つにしたものといったものも残っています。