ロンドンのクラフトジン「シップスミス(SIPSMITH)」。
ロンドンで、約200年ぶりにオープンした少量生産のクラフトジン蒸留所です。まさにロンドンクラフトジンの先駆者!
そんなロンドンにあるシップスミス蒸留所の見学ツアーに参加してきました!
料金、内容、ジンの試飲・オリジナルグッズ商品など、写真と共に紹介します。
ロンドンジン「シップスミス(SIPSMITH)」
ロンドンのクラフトジン「シップスミス(SIPSMITH)」。
2009年創業。小規模な蒸留所ながらも、伝統的な製法にこだわり丁寧に製造しています。
「SIPSMITH」という名前は、「味わいながら飲む」という意味の“SIP”と、「熟練した技術を持つ職人」という意味を持つ“SMITH”を合わせた造語なのだそうです。
グレーター・ロンドン(シティと32のロンドン特別区)内に、約2世紀ぶりにオープンした少量生産のクラフトジン蒸留所です。
その他、ロンドンにあるジン蒸留所については、こちらの記事で詳しく紹介しています↓
ロンドンジン『ビーフィーター』は、日本のコンビニ・スーパーでも見かけますね。
2016年に、5000万ポンドでビームサントリーに買収され、子会社となっています。
創業者は、大手ビール醸造所「フラーズ醸造所」の元社員と、アルコール飲料を取り扱うグローバル企業ディアジオの元社員。脱サラして独立起業ということでしょうか。
ディアジオ社はスコッチウイスキー「ジョニー・ウォーカー」や、ビール「ギネス」、ウォッカ「スミノフ」などの有名なアルコール飲料ブランドを所有しています。
グレンキンチー蒸留所もその一つです。ウイスキー蒸留所見学ツアーの記事はこちら↓
創業して14年という短い年月ですが、世界中で販売されるクラフトジンにまで成長。また、ウィンブルドン初の公式ジン・パートナーにもなりました。
蒸留所見学ツアーに行ってきました
蒸留所見学ツアーに参加するため、シップスミス蒸溜所の最寄り駅があるロンドン西部ターナム・グリーン駅にやってきました。
ロンドンにしては珍しい、雲一つ無い良いお天気です!
シップスミス蒸留所は、住宅街の中に突然現れます。
創業当初はハマースミスに拠点があったそうですが、2014年にこちらに引っ越したそうです。
可愛らしいジンのキャブ(タクシー)
今回、参加したのは「Sipsmith Distillery Tours」。
内容は、蒸留器見学ツアー、ジンのテイスティング、お持ち帰り用のジンギフトパックが含まれています。
料金は25ポンド/人。所要時間は1時間半です。事前にオンライン予約して行きました。
平日の18:30から開始のツアーなので、仕事終わりに立ち寄ることかできます。私たちも、夫の仕事終わりに合流して2人で参加してきました。
いよいよ蒸留所の中へ。
美しい銅製蒸留器が並んでいます。小さく質素な工房ですが、蒸留所見学ツアーをこの場で開催できるように、魅せる造りになっています。
おしゃれで可愛いバーカウンター。ここに座ってテイスティングができるみたいです。
ショップも兼ねています。
幅広いフレーバーのジン、オリジナルグラスやマドラーなどのグッズ商品も買って帰ることができます。スーパーでは見かけないような種類のジンもあるので、ぜひここで買って帰りたいですね。
シップスミスジンの定期購入サービスもやっているようです。
まずはウェルカムドリンクとしてジントニックを受け取りました。
さすがプロが作ると、家で自分で作るものより美味しい気がします。
ツアー参加者は定員いっぱいです。参加者全員が揃うと、さっそくツアーのイントロダクション、シップスミス蒸留所の歴史の説明が始まりました。
シップスミス蒸留所は2009年創業。約2世紀ぶりにオープンした少量生産のクラフトジン蒸留所です。
こちらが、シップスミス蒸留所のジン蒸溜免許許可証。
ロンドンでは、約200年振りの許可証とのことで、英国政府の認可部署にはひな形が無かったそう(;’∀’)
ひな形が無いため、手書き形式の許可証となっています。
なぜ、空白の200年があるのか?
ロンドンで、ジンが約200年間も表舞台から姿を消したのは、様々な歴史・規制が背景にあります。
17世紀のイギリスでは、フランスからのブランデーの輸入が禁止され、地元で穀物を使った蒸留酒の製造が奨励されます。その結果、数多くの蒸留所ができ、蒸留酒が無秩序に流通するようになりました。
当時、ジン製造にはライセンスやルールが存在しなかったため、質の悪いジンが多く流通しました。その結果、ロンドンの街の治安は乱れ、公衆の面前での酩酊、賭博や売春が横行し、「’city of sin’(罪の街)」と呼ばれるように。
そんな時代に、英国の芸術家ウィリアム・ホガース(William Hogarth)によって描かれた作品が、こちらの『ジン横丁(Gin Lane)』です。
一般階級に広がるジンによる社会問題を描いた作品です。
『ジン横丁(Gin Lane)』
当時、ジンは安く飲めるお酒だったため、特に貧困層に人気がありました。しかし、ジン製造に免許・規制が無かったため、質が悪いジンも多く流通しており、体を壊す人が続出。
社会問題となるアルコール中毒者の惨状が描かれています。
ジンは「不健康・不道徳なお酒」というイメージが強かったのです。
また、1823年から施行されていた法律では、1,800リットル以下の蒸留器のライセンスを取得することができませんでした。
シップスミス蒸留所の蒸留器は300リットル。しかし、シップスミス創業者たちの粘り強い交渉・情熱もあり、2008年に法律が改正され、ジンは再び少量で個性豊かに製造できるようになりました。
ロンドンジン、空白200年には、このような歴史・背景があったのですね。
さて、お次はお待ちかねのジンのテイスティング。
まずは、緑のラベルのシップスミスの代表的なジン「LONDON DRY GIN」をテイスティング。
伝統的なロンドン・ドライ・ジンです。アルコール度数41.6%。丸みのあるジュニパーとピリッとした柑橘系の爽やかな香り。マティーニ・ギムレットなど定番のカクテルにおすすめのジンです。
続いて、黄色のラベルの「LEMON DRIZZLE GIN」
手作業で皮を向いたレモンと、厳選された柑橘系のボタニカルを加えて作られた、スパイシーなレモン・ジンです。アルコール度数40.4%。爽やかなレモンの風味がいっぱいに広がります!
ジントニックにおススメのジンです。
続いて、オレンジ色のラベルの「ZESTY ORANGE GIN」
新鮮なオレンジの皮とスパイスのゼストを加え、柑橘系の風味を強めたオレンジ・ジンです。アルコール度数40%。
キレがあるオレンジの香りと、ベルガモットの香り、マーマレードのような甘い風味。軽く温かみのあるスパイスが感じられます。スプリッツやマティーニなどのカクテルにおすすめです。
ピンク色のラベルの「VERY BERRY GIN」
こちらは限定商品のジンなのだそう。ジューシーな手摘みのベリーの果実の風味がはじけるフルーティーなジンです。アルコール度数40.4%。
クランベリーやオレンジピール、パイナップルなどのフルーティーな香り。スパイスが効いておりピリッとします。売り上げの一部が慈善団体に寄付されるそうです。
ジントニックにおススメのジンです。
テイスティングの後は、こだわりの銅製蒸留器の説明へ。
想像よりも蒸留器は小ぶりで、容量は300リットル。
蒸留器それぞれに名前があるようです。写真左の蒸留器の名はヴェリティ(真実)、写真右の蒸留器の名はコンスタンス(継続)。
昔ながらの製法にこだわった「ワンショット製法」。ワンショット製法とは、ロットごとに必要な原材料を蒸溜し、その後は水以外は一切加えず濃厚で力強い味わいを引き出す製法です。
シップスミスのラベルに描かれているこちらの白鳥のイラスト。
蒸留器の上部のキュッと細くなった部分が、白鳥の首に似ているからという理由でデザインされたそうです。
蒸留所見学ツアー終了後は、お土産にジン3種類が一つになったギフトパックを頂きました。
お土産・買ったもの
シップスミスのオリジナル商品「ハイボールグラス」(5.5ポンド)を、お土産に買って帰りました。
縦長で丸みがあって、おしゃれなデザインで気に入っています(^^)自宅でシップスミスジンを飲むのがより楽しくなりそうです。
トニックウォーターは、「カクテルにはどの種類のトニックウォーターを使ってるのですか?」と質問したらプレゼントしてくれました。
そして、ギフトパックのジン3種。こちらは蒸留所見学ツアーの料金に含まれています。
こちら1つだけでも10ポンドは軽くしそうですし、このお土産を含めてのツアー料金25ポンドは、なかなかにコスパ満足度が高いのではないでしょうか。
ベリーベリージンの美味しさが忘れられず、後日買ってしまいました!
期間限定販売とのことで、数多く手に入らなさそうなので…大事に味わって飲もうと思います(*_*;
蒸留所見学ツアー・テイスティングは、平日の夕方・夜に1時間半開催されます。ロンドン在住者・駐在員さんは、同僚や家族と一緒に仕事終わりにパッと立ち寄ることができそうですね。
スタッフさんはフレンドリーでとても親切。質問にも丁寧に回答してくれました(^^♪
ぜひ、訪問してみてください!
その他、イギリスのジン・ウイスキー蒸留所見学の記事やYoutube動画↓