【ロンドン観光】科学博物館(Science Museum)~蒸気機関編③~

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ピストンバルブは、エンジンのシリンダーに出入りする蒸気を制御します。蒸気はエンジンのスチームピストンを交互に押し上げ、凝縮器へと排出されます。

 

 

ピストンは、シリンダーの上部を通るピストンロッドに取り付けられています。長いサイドロッドで鋳鉄製のクランクを動かし、フライホイールで回転させるという仕組みです。

 

 

エンジンの土台には、コンデンサーやエアポンプ、冷水のための貯水槽が入っています。

エンジンのシリンダーから出た蒸気はコンデンサーに入り、そこで凝縮されて水へ戻り、この凝縮水はエアポンプで取り除かれるようになっています。

遠心分離機のガバナーは、スロットルバルブを介してシリンダーに入る蒸気の量を増減させ、エンジンの回転数を調節しています。

エンジンの回転数が上がると、使用する蒸気の量が減り、エンジンの回転が遅くなります。また、エンジンの回転が落ちれば、使用する蒸気の量を増やして、回転数を上げます。

 

 

1815年から1817年までの製図係として、ヘンリー・モーズリーの元で働いた高名な機械学者ジョセフ・クレメントが描いた、

ヘンリー・モードスレーのテーブルエンジン。

 

 

 

1800年代後半になると、蒸気機関は巨大な工場システムの中心的存在、いわば心臓となりました。

工業システムは、工業都市、さらには国をも結びつけ、工場労働者のための住宅、店舗、サービスを満載した新しい町を作り上げました。

 

信頼性と効率が向上した蒸気機関は、綿花工場から芝刈り機まで、あらゆるものを動かす英国の主要動力源になっていました。

回転軸、プーリー、ベルトを複雑に組み合わせ、1700台もの力織機(モーターを回して運転する織物をつくる機械)を同時に動かすシステムもあったほど。

 

 

1903年式バーンリー鉄工所製コーリス蒸気機関

バーンリー鉄工所がバーンリーのハーレサイク工場(製織小屋)のために製作したミルエンジン。

1850年以降に普及した水平対向エンジンで、それまでの巨大なロッキングビームを使用しない直動式です。

このエンジンは、この時代に作られたエンジンの典型的なもので、1970年まで現役で駆動したそうです。

 

全体像はこちら。

 

 

まず、高圧のシリンダーに蒸気が入ります。(両端に別々の蒸気吸入弁と排気弁がある。)

蒸気はシリンダー上部の吸気弁から入り、ピストンの両端を交互に押します。蒸気はシリンダー下部の排気弁から排出され、低圧シリンダーに送られます。

 

エンジンのクランク軸に取り付けられた偏心器の動きが、長いバルブロッドによってバルブに伝えられます。

高圧シリンダーの蒸気入口弁の開閉を制御するガバナーのおかげで、エンジンの回転数を細かく制御することができ、効率が良く経済的なエンジンとなっています。

 

 

ハーレサイク工場に設置された力織機

この規模の製造には、かつてないほど大きな蒸気機関が必要でした。上記で紹介した蒸気機関で、900台の力織機を動かしていたそうです。

 

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