ロンドンの国立美術館「テート・ブリテン」。
光と色彩の魔術師ことターナーやロセッティなど、16世紀頃からのイギリス美術を中心としたコレクションが人気です。
写真と共に、見どころ・作品の解説と雑学を交えて、ご紹介します!
テート・ブリテン(Tate Britain)
16世紀から現代までの、約500年間のイギリス美術を中心としたコレクションだけでなく、現代美術の特別展が開催される世界的な美術館です。
入場料無料(特別展は有料)で、クリスマス以外は平日・土日祝もオープンしています。
最寄り駅は地下鉄ビクトリア線の「Pimlico」駅。駅から徒歩8分ほどの場所にあります。
毎年賛否両論の話題を集める、50歳以下のイギリス人もしくはイギリス在住の美術家に対して毎年贈られる賞である「ターナー賞」の会場でもあります。
ナショナル・ギャラリーの分室「テート・ギャラリー」として設計され、
後に現代美術を専門とする「テート・モダン」と、イギリス美術を専門とする「テート・ブリテン」に分かれて現在に至ります。
テート・モダンはこちら。テート・ブリテンからテムズ川を渡って徒歩16分の場所にあります。
【実際に行ってきました】見どころ紹介
ミルバンク刑務所の跡地に建設されたテート・ブリテンの建物。ビクトリア時代に建てられた、クラシカルリバイバル様式の美しい建物です。
テート・ブリテンの最大の見どころは、やはりイギリスの著名な芸術家たちの作品です。
イギリスの有名アーティストの作品が網羅されている大規模で見ごたえのある美術館です。
館内はメインフロア、1987年に増築されたクロア・ギャラリー、地下に分かれています。
メインフロアでは、ブリティッシュアートや企画展など、クロア・ギャラリーでは、ターナー・コレクションを中心に展示されています。
ゲインズバラやホガーズなどの歴史的作家の作品から、フランシス・ベーコンや巨匠ホックニーなど20世紀からの現代美術まで楽しむことができます。
入場料は無料ですが、もちろん寄付は歓迎。キャッシュレスですぐに簡単に寄付できるようになっています。
気になる作品に着目して、サクサクと観て回り、それでも所要時間は1時間ほど。
それぞれの部屋の展示をじっくりと観賞して行くのであれば、所要時間は2~3時間になるかと思います。館内の所々にソファ、地下にはカフェがありますので、休憩しながら観て回ることができます。
ジョン・エヴァレット・ミレー 『オフィーリア』 1851 – 1852年
19世紀のイギリスの画家、ジョン・エヴァレット・ミレー(Sir John Everett Millais)の作品『オフィーリア(Ophelia)』です。
シェイクスピア劇「ハムレット」のワンシーンです。第4弾・第7幕で、オフィーリアが小川に浮かんで亡くなる、悲劇的なシーンを描いたもの。
オフィーリアの死は、文学の中で最も詩的に書かれた死の場面の一つとして称賛されています。
オフィーリアは綺麗な花輪を作り、その花輪をしだれた枝にかけようとしてよじ登った折も折。
意地悪く枝は折れ、花輪もろとも涙の川の流れの上に。
裾が大きく広がりまるで人魚のように川面を漂いながら、古い小唄を口ずさみ、自分の死が迫るのも知らぬ気に。
水に生い、水になずんだ生き物さながら。
溺れていることに気づかないうちに死んでいく、のですね。
こちらの作品『オフィーリア』は、ラファエル前派の完成品と言われています。
自然を理想化せずにありのままに描く、ラファエル前派。
こちらの作品には、イングランドの野花が細密に描かれています。赤い花はケシの花。ケシはアヘンになり、眠りや死の象徴の花として描かれているそうです。
また、写実主義としてよりリアルに描くために、絵のオフィーリアのモデルに、実際に衣装を着て水に浮かんでもらったのだとか。