ザ・グレンリベット蒸留所見学(The Glenlivet Distillery)@スコットランド スペイサイド

イギリス
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スコットランドのスペイサイドにあるザ・グレンリベット蒸留所を訪問してきました!

 

ザ・グレンリベットは2021年シングルモルトの売上世界一!日本でもよく見かけるウイスキーだと思います。

 

本記事では蒸留所ツアーの概要・見どころをご紹介します!

 

Youtube動画でも紹介しています。よろしければご視聴・チャンネル登録をお願いいたします。

 

 

ザ・グレンリベット蒸留所とは

 

【住所】

Glenlivet, Ballindalloch AB37 9DB

 

 

ザ・グレンリベット(The Glenlivet)はスコットランドのスペイサイドにある政府公認第一号のウイスキー蒸留所。「はじまりのシングルモルト」とも呼ばれています。

 

中世のスペイサイド地方には密造酒業者が多かった中、時の国王ジョージ4世は特にここリベット谷の密造酒をとても気に入っていました。

違法な密造酒を国王が?と思われますが、そこは快楽王・放蕩王の異名をとるジョージ4世。ブライトンに華美な宮殿を建築するなど贅沢三昧で欲望にまみれた生活を送っていたようです。

 

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そんな中1824年に英国政府公認第一号の蒸留所として認められたのが、ザ・グレンリベットの創業者であるジョージ・スミスのウイスキーです。ちなみに1824という数字はウイスキーの瓶にも記載されており、彼らが大事にしていることが分かります。

 

しかし、当時スコットランドにたくさんいた密造者たちは、ジョージ・スミスだけが政府公認の蒸留所となったことをよく思っておらず、彼を裏切り者とし、絶えず命を狙うように。

ジョージ・スミスは自分の身を守るために、常に2丁のピストルを携帯していたそうです…。

 

 

しかしザ・グレンリベット人気が高まってくると、今度は手のひらを返したように、他の蒸留所も”グレンリベット”を自分たちのウイスキーの名前に使用するようになっていきます。その数なんと25。

 

ジョージ・スミスは自分のスタイルのウイスキーを守るために裁判所に提訴しました。

 

1884年、引き継いだ息子の時代になってようやく判決が下り、”ジョージ・スミスのウイスキー”だけが本物の証拠である定冠詞の”THE”をつけることが認められ、唯一無二の”THE GLENLIVET”となりました。(よってこの記事でも敬意を表して毎回”ザ”を付けますね。)

 

 

 

ツアー見学

事前予約が必要な見学ツアーは、4種類あります。料金が高くなるほど、ガイドツアー内容がより濃密に、見学後にテイスティングできるウイスキーがより高級になります。

 

今回我々が参加したツアーは一番料金が安い「THE ORIGINAL」。料金は15ポンド(約2,400円)、所要時間は1時間30分でした。

 

一番料金が高いのは「THE CELLAR COLLECTION」で350ポンド(約56,000円)!その分ツアー内容は豪華で、30年から40年までの希少なウイスキーを、専門家に質疑応答してもらいながら楽しむことができるそうです!

 

数年前に改装されたばかりだそうで、他の蒸留所見学ツアーと比べて、新しくて綺麗な印象でした。

 

映画を見ているような鮮明な映像でした。グレンリベットの歴史を学べます。

 

ウイスキーづくりの各工程をビジュアル的に楽しめます。まるで上手な人のプレゼンを見ているようです。

 

天井にもモニターが!写真では伝わりずらいですが、臨場感たっぷりでした。

 

蒸留する前のアルコール手にをかけてもらいました。大麦の香りが強い、やや粘性のある液体でした。手から蒸発していく感触は、手指消毒用アルコールそのものでした。

 

大麦麦芽から糖分を抽出するマッシュタンです。

 

先ほどのマッシュタンで得た糖液を、アルコールにするウォッシュバックです。伝統的に木製の桶が使われることが多いです。

 

ウォッシュバックは階下まで続いており、大容量でした。

 

ポットスチル(蒸留器)です。ここで蒸留して不純物を除きアルコール濃度を高めます。グレンリベットでは全部で14基所有しています。

 

目の前でまさに沸騰している状態は初めて見ました(写真ではポットスチルの小窓が白く見えますが、沸騰による気泡です)。部屋にも熱気がこもっており臨場感のある蒸留工程が見学出来ました。

 

蒸留によって選別された液体が、樽に入れられて熟成されます。その熟成庫も見学出来ました。

 

倉庫内は静かで、とても涼しいです。静謐という表現がぴったりです。

 

エンジェルズシェア(熟成時に樽の隙間からウイスキーが少しずつ蒸発していく現象)が視覚的にわかる展示です。

時間が経つほど蒸発スピードは緩やかになりますが、毎年ざっくり2%程目減りするそうです。目減りと引き換えにウイスキーは樽の成分(香り・色)を獲得していきます。

時間が経つにつれて(写真で右に行くにつれて)体積が減り、樽の成分で色が濃くなっていくのがわかります。

同じオーク樽でもヨーロッパ産の方がアメリカ産より色の付き方が濃いのですね。蒸発スピードはアメリカ産の方が気持ち早めです。

 

 

グレンリベットで使われている様々な樽の香りを体験できるコーナーもありました。

ヨーロピアンオーク樽・アメリカンオーク樽・ラム樽・コニャック樽。それぞれの特徴がイラストで描かれています。

「こんなところに何年も入れられてたら、そりゃウイスキーも香り高くなりますわな」というくらい良い香りがしました(素人)。

 

 

お待ちかねのテイスティングの時間です。ザ・グレンリベットの12年・15年・18年を楽しめました。テイスティンググラスを覆うレンズ状のガラスがお洒落です。

 

ウイスキーバー

ビジターセンターにはバーが併設されていました。食事はほとんどありませんでしたが、その分豊富なウイスキーが楽しめました。

 

暖色系のライトで温かな空間になっています。

 

バーの中央にカウンターがあるスタイルです。

 

観光地だからといって割高な値段ではなく、普通のバーぐらいの価格帯でかなり良心的。それでいてこんなにおしゃれでいい雰囲気のバーでくつろげるなんて最高です。

地元の常連さんもいるようで、棚にはネームプレートがかかったキープされたボトルが並んでいました。

 

メニューはこんな感じです。

 

ウイスキーフライト(飲み比べセット)があるのは嬉しいですね。スナック菓子もありました。

 

チョコレートやチーズポップコーンなど簡単なおつまみも楽しめます。

 

ボトル1本をいきなり買う前にここでいろいろ試してみてお気に入りを見つけるのもアリだと思います。

 

大富豪向けのページに入ってきました。ザ・グレンリベット50年物は25mLで700ポンド(12万円弱)…!100本限定で販売されたそうで、その希少さがわかります。

 

過去の希少なボトルもあるこの『アーカイブ』というコーナー。10年以上前に販売されていた製品の『タイムカプセル』とのこと(表現がおしゃれ…)。

 

姉妹蒸留所(所有者が同じ)の製品も。さすがワイン・スピリッツ部門で堂々の1位に輝くフランスのペルノ・リカール社。たくさんの蒸留所を所有しています。

同社はジンだとロンドンのビーフィーターも所有しており、日本でもよく見かけます。

 

ザ・グレンリベットの元Master DistillerであるAlan Winchester氏による厳選されたウイスキーたち。

 

彼の名を冠したウイスキーの限定ラベルが販売されるほどです。ザ・グレンリベットへの貢献が大きかったのでしょうね。(写真は150本限定のリリースで、300万円超え)

 

ソフトドリンクもあり、ドライバーや未成年がいても安心です。

 

ザ・グレンリベットを使ったカクテルも。

 

ウイスキーフライト(飲み比べ)The Glenlivet 12 Year Old Trio Flightを注文しました。テイスティングカップが可愛らしいです。

左から順にThe Glenlivet 12、The Glenlivet 12 Excellence、The Glenlivet 12 First Fill Sherry Butt。

 

シェリー樽熟成した一番右のウイスキーが色が深いです。個人的にも味・香り共にウイスキーなのにシェリーの良い所も持っていて美味しかったです。

 

シェリー樽美味しいですねというと、店員さんが先ほど飲んだ12年以外の銘柄を並べてくれました。中でも、13年ものはこの蒸留所か台湾でしか販売されていないとのこと。

 

セールストークに乗せられて、13年ものを注文してしまいました…。8ポンド(約1,300円)。

結果、夫婦で「これボトルで買おうぜ」という判断になりました。笑

12年物よりもシェリー感が強まり、シェリー由来の甘い香りと元のウイスキー由来の樽感が良い塩梅で調和していました。とにかく美味しかったです(素人)。

 

トイレも綺麗で、おしゃれなホテルラウンジに来ているような感覚でした。

 

売店

 

自分で瓶詰できる商品。どの蒸留所でも見かけるので、訪問した思い出に…という需要が多いのかと思います。

 

先ほどのバーで感動して購入を固く決意した『ザ・グレンリベット13年シェリーカスク』。一般販売は台湾のみなので、それ以外ではここでしか買えないウイスキーです。

1本55ポンド(約8,800円)でしたが日本の通販で2,3万円ほどで転売されているようです。

日本に持って帰って転売すればそれなりに利益が出そうな逸品ですが、「転売?いらんいらん、絶対に自分で飲むわ」というほど美味しいです。自宅用に2本も買って帰りました。

(そして今自宅で楽しみながら、背伸びして5本くらい買っておけばよかった、と後悔しています…)

 

 

姉妹蒸留所(オーナーが同じペルノ・リカール社)のウイスキーも取り揃えてありました。  

 

ミニボトルもあり、大きいボトル1本を買うのはちょっとな…という方でもお手軽に楽しめます。

 

 

最後に

日本でもごく普通に見かける超有名なシングルモルトの蒸留所を訪問できて感無量です。密造時代の政府公認第一号ということで、過去には大変な思いをしたようですが、現在までブランドをしっかりと守っています。知名度にあぐらをかくことなく、見学ツアーの設備に力を入れファンを増やす努力も継続していて素晴らしいと思います。

 

訪問前は「シェリー樽?しゃらくせぇなぁ」くらい斜に構えていましたが、今となってはシェリー樽熟成に完全にはまってしまいました…。

皆さんもザ・グレンリベットを訪問した際は、見学ツアーはもちろん、台湾以外では手に入らないぜひ13年もののシェリー樽熟成のウイスキーをお試しください!

 

 

今後も蒸留所を訪問していきたいと思います!

 

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